今週のお題「大移動」
大移動、どの程度を"大"移動というのか、物差しは個人次第なのかもしれません。わたし個人としては狭い範囲でちまちま生きている人間だとおもっていて、北海道や九州、四国に足を踏み入れたことがありません。憧れるなあ、どの地も。
でも旅行ではなくてビジネスになると話は少し変わってきて、たとえば海外ではなく日本国内であっても、定期航路のない場所に行くためにチャーター便を駆使して片道10日ほどかけて向かうこともあります。こういうのは大移動と言って差し支えない気がします。
そう考えるとわたしの中で"大"移動とは、距離の大小よりも時間の大小で判断できることのようです。
時間のかかる移動を大移動と呼べるなら、わたしの好物分野・登山も立派な大移動です。
登山・・・厳冬期天狗岳
先日、八ヶ岳のひとつ天狗岳に1泊2日小屋泊で行ってきました。雪が少ないと言われる今年の山ですが、東京でも積雪した2月の大寒波後だったので、厳冬期らしい山に登ることができました。
天狗岳は双耳峰で、東天狗岳と西天狗岳ふたつのピークがあります。写真は登山中ガスガスだった空が一瞬だけ晴れて姿を現した東天狗岳。稜線には雪庇が育っています。
稜線を歩きながら眼下に霧氷の森。
最初のピーク東天狗岳山頂に着いた頃にホワイトアウトしてきたので、西天狗登頂は早々に諦めて下山。このとき気温はマイナス15度、風速は推定10メートル程度(立っていられないほどではないが強風) 。
下山し初めて30分ほどでガスが晴れて東・西天狗岳が姿を現しました
黒百合ヒュッテで名物のビーフシチューを食べて温まりました。
白と青のコントラスト
しっかり育っている霧氷
凍結した白駒池。スノーシューハイカーのシュプールがナスカの地上絵のようです。
番外編、高見石小屋の揚げパンセット。声が出るほど美味かったです。
アタック前日に泊まった高見石小屋はランプが灯されるのみ。薄暗く、ジャズバーのような雰囲気。
音楽・・・小澤征爾さん
たしか3週間ほど前でしたか、小澤征爾さんと村上春樹さんの対談本に触れたところでしたが、まさかその直後小澤さんの訃報を知ることになろうとは。
紹介する映像は指揮小澤征爾、演奏サイトウキネンオーケストラによるバッハのシャコンヌです。本来バイオリンの独奏曲で、激しい演奏が似合う、凛々しくて悲壮感あふれる曲調なのですが、このオーケストラアレンジは冒頭から、物悲しくはあれども、どこか温かく、静かな曲調。そして独奏曲であるのに元からオケの曲であるかのような一体感に心震えます。多様性の時代と言われつつも、こういった一体感に心動かされるのはどういうことなのだろうな、と考えずにはいられない、聴きながら多くの気づきをくれる曲です。
個人的にクラシックリスニングはもっぱらバイオリンソロや室内楽のみ聴いてきて、ようやく時間をかけてこれからの音楽の旅は交響曲になりそうなところで、そのための入門編として、先述の対談本を読み始めたタイミングでした。小澤征爾さんの訃報はとても悲しいです。ご冥福をお祈りします。