残り半分

話がまとまる前にやめとく派です

音楽ライフの一命をとりとめて

今週のお題「夏うた」

当たり前の話ですが、音楽は、それを聴いてみて初めて好みかどうかが決まるものでしょうから、どんなに他人からすごいすごい言われたところで、自分の耳で聴いてみないことにはどうしようもありません。ところがほんの15から20年くらい前までは、音楽に触れるための「当たり前の話」がまったく違っていて、「聴いてみる」に到達するまでの道のりがめちゃくちゃ遠かった。わたしは当時洋楽ロックが好きだったのですが、YouTubeなどの気軽に聴いてみるサービスが(主に回線速度の問題で)一般にはそこまで普及していなかったので、レンタルで試し聴きしていたのですがが、いつの間にか洋楽新譜はリリース後1年くらいのタイムラグを経てようやく借りれるような「決まり事」に変わってしまい、その頃は本当に参ってしまった。また、CDショップで試聴しようとしても、わたしが当時住んでいた田舎のCD店では試聴機さえ置いてなかったりしたので、店員さんに頼んでパッケージを開けてもらい館内放送的に試し聴きすることはできたけど、そこまでやったら買わなくちゃならない雰囲気だったのでそういうことも滅多にできず、ほとんどギャンブルのようにCDを買って、失敗したら300円で中古屋に売って、というお財布の中身デフレスパイラルを繰り返していました。当時の唯一のリスク回避策が音楽雑誌のレビューだったりしたのですが、これはこれでレビュワーのプレゼン能力次第で簡単に洗脳されてしまうものなので、リスク回避策になっていたのか、かえってリスクを増大させていたのか、今となってはどちらとも言えません。

や、なんか書きながら、こんなでたらめな需要供給関係の非対称性のもと、よくここまで根気よく音楽を聴いてきたものだな、と我ながら感心してしまう。途中図書館で大量のジャズに触れることで音楽ライフの一命を取り止め、iPodiTunesの誕生と、そこから近い将来誕生するであろうと想定されたクラウド視聴(サブスクリプション)への期待がなかったら、早々に音楽を趣味とすることから挫折していたかもしれません。まったく不満がないわけではないけれど、わたし的には、今の音楽購入・視聴環境は人生で一番良い状況です。

で、その過渡期の図書館で借りまくり時代、ジャズと同時に好きになったのがジャック・ジョンソンでした。当時PVを観ることはなかったのですが、今こうやって映像を観ているだけで、彼の音楽とサーフィンの良好な関係性がよくわかるし、マリンスポーツをまったくやらないわたしさえも、すぐにでも九十九里へ行って波と戯れたくなってしまいます。

 


Jack Johnson - You And Your Heart (Official Video)