残り半分

話がまとまる前にやめとく派です

映画版「亜人」

このところDVDでさえも映画を見なくなっていて、久しぶりにいくつかまとめて鑑賞しました。

映画「亜人」、2017年公開作品です。死なない人の話。

わたしは原作漫画「亜人」が大好きで、コミックは最新巻まで揃えています。雑誌連載の方はどうやら先日終わってしまったようですが、この漫画については頑なに雑誌は読まないようにSNSも検索しないように頑張ってネタバレ回避し続け、多分次の17巻が最終巻なんですけど、発売を心待ちしています。漫画「亜人」の面白さは、生物が際限なく何度も蘇るというのはどういうことか、という設定1点のみで物語が突っ走っていく爽快感に尽きます。亜人は「不死」と言われていて、物語中でも亜人は死なないと言われていると思うのですが、わたしの見る限り亜人はひたすら死んでいて、亜人の特徴として脳や臓器などに致命的損傷を受けて生命活動が停止してから初めて復活していることから、「不死」ではなくて、「(死んでも)蘇る」というのが正しい表現だと思います。Wikipedia亜人を調べても、「死なない」と書かれているかと思えば「死んだら蘇る」とも書かれているし、それは作中でも同様で、亜人が死ぬ・死なないことについて曖昧というか、作者があまり気にしてないというか、例えば亜人が心肺・身体機能を停止することを作中でリセットと呼んでいますが、わたしは「いやそれ死んでるし」と思いながら読んでいます。こういう不死や不死身なことを扱う物語というのは気にし出すと整合性を図るのがとても難しくて、例えば時間自由自在なタイムリープものと同様に所々矛盾点が見受けられます。「亜人」についても不死の定義について考え始めるとおやおやと思うことは少なくないのですが、冒頭述べた通り「ひたすら蘇る人」という設定のみで突進する物語が小気味よく、特に亜人の戦い方については一つの大発明だとワクワクしながら漫画を読んでいます。

映画「亜人」は、原作漫画にあった人と人の物語や、なぜ主人公がそのように振る舞うのかというバックグラウンドの説明をほとんど排除していて、「蘇る人」という設定によるバトルのみを抜き出して話が展開するので、究極の亜人映画だと思いました。

 

亜人

亜人

  • 発売日: 2018/03/04
  • メディア: Prime Video
 

 

 

夢の中で街を作りたい

夢はリアリティがありつつも実態としては完全にバーチャルな世界なので、あとで振り返ることができるときっと色々面白いと思うのですが、わたしはその日見た夢を覚えていられなくて、もっと言うと覚えていられないことを覚えられないので、見た夢を振り返るのことができる機会は非常にレアです。

個人的に面白いのは音楽の夢で、ビジュアル的には何もなくて、ただただメロディやコードだけが流れていて、ここち良い音色に心を委ねたところでハッと目が覚める。もっと聴いていたかったなあと惜しい気持ちになるのですが、少し足りないくらいが丁度良いと言うか、そういうもったいぶった感じも含めて音楽の夢は好きですね。

あと夢に関して最近身につけた技があって、怖い夢って体がこわばるほど逃げ出したくなっても目が覚めないってことがあるような気がするんですけど、そういう時寝返りを打って強引に覚醒できるようになりました。でも毎回怖い夢を見るたびに覚醒に成功しているのか、夢の内容を忘れがちなのでなんとも自信がないのですが、例えば今朝は間違いなく怖い夢を見始めたタイミングで思いっきし体を反転して目が覚めました。ノーラン監督の映画「インセプション」で、何階層も奥深い夢(深層心理)から戻る方法として、夢の中で椅子からひっくり返ったり水に飛び込むなどのショックを与えることで現実世界へ覚醒していく「キック」と呼ばれる行動がありましたが、わたしが体を反転させて目覚めるのはまさに「キック」ではないか、とちょっとドヤ顔で言わせてもらっても良いですか。トーテム用意するか。

夢っつーとこの曲かなと思います。kojikojiの愛のままにです。浮遊感と切なさ、優しさもあります。

 

 

 

今週のお題「お弁当」

このブログはだいたい週に一回は更新しているんですけど、先週はちょっとサボってしまいました。なんでかというとぎっくり腰になっちゃったんですね。先週の、土曜のことでした。土曜の朝目が覚めて、よし休みだ!って少し勢いよくベッドから離れたらビキっとなりまして・・。「まさかこんな程度の動きで?ぎっくり腰?」「いやいや、少し捻っただけで、すぐ治るだろう」そういう認めたくない気持ちで痛みがおさまらないまま5分、10分と経つうちに心の整理がついてきて、ついに観念しました。ぎっくり腰で間違いない。幸い痛みは重篤ではなかったのでトイレにはどうにか行ける気がしましたが、問題は食事でした。土曜に買い出しに行くつもりでいたので冷蔵庫にストックがなんもないのです。外に行ける元気はないな。食べるのは1日諦めて、とにかく静養するしかないかな。そう観念しながら何とは無しにスマホに目をやりました。待てよ?

大活躍してくれたのはウーバーイーツでした。いやあ助かったなあ。

置き配にしたので、受け取りにそーっとそーっと玄関へ歩みを進めて5分間待たせるような心苦しい思いをする必要はありませんでした。ハンバーガー、カレー弁当、野菜炒め弁当、普段と遜色ないというか普段よりカロリー高めに摂取してしまった。そしてひたすら寝た。ウーバーイーツの到着を待って食事を取る時以外、コンコンと眠り続けました。10時間寝て飯食ったあと、すぐ気持ちよく寝れた。そう言うことなのかなと、寝とけよ、という自分の潜在意識がしむけたことなのかな、なんて思いました。

ナルバリッチがニューアルバムを出しました。しかもタイのPhum  Viphurit(プム・ヴィプリット)とのコラボ曲が入ってる。セクシーな曲です。

 

 

 

 

 

 

 

 

下書き供養はバッハになった

今週のお題「下書き供養」

下書きについてはとってもタイムリーと言いますか、この頃よく考えていたことです。下書きに書きかけのものがそこそこたまっていて、どうしようかなと悩んでいました。数えたら41個です。中身を流して読み返すと、自分の中で旬を過ぎてるし特に未練もない内容ばかりなので、これを機会にガンガン削除していたところ、一つだけ気になる文章がありました。

あの子の父親はレコードをたくさん残してくれたけど、あの子はそれをぜんぶ聴いたあとで、最後にバッハをお気に入りに選んで、何度も何度もくりかえし聴いていた。子どもをとりこにするような音楽じゃなかった。最初は気まぐれで選んだのかと思っていたけど、感想を訊いてみると、音楽の中に、ものすごく巨大な、複雑な構造の家が見えるって言ったの。巨人がすこしずつそれに手を加えて、曲が終わると、家が完成しているんだ、って

これはむっちゃよくわかる。バッハの音楽の魅力について全く同意。引用タグをつけてるので、多分何かの文章の抜粋なんですけど、この文章丸ごとで検索しても特にヒットするものがありませんでした。

けれどこれ多分、小説「三体」の抜粋だと思う。未だ積読状態で読了に至っていませんが、解釈の仕方が理系的であることから、わたしの少ない読書歴からは他にありえない気がします。

 

バッハの音楽の不思議さは、複数のメロディの組み合わせによってのみ表現されていることにあります。現代の大衆音楽に必須な表現手法とほとんど無縁なんです。例えば小学校の時に習ったフォルテやピアノなどの強弱抑揚や、長調短調といった明るい・暗い印象を表す音楽的要素がない、のっぺりした音楽表現なのがバッハの音楽です。そういう意味で、作曲上大袈裟にやってやろうという部分はいっさいなくて、音の配置情報の組み合わせのみによって鳴らされています。「情報組み合わせ」は統計・確率論に密接ですから、数学が大変得意とする分野で、それは理性的なものです。バッハの音楽が理系表現に親和性がある所以です。その組み合わせ論的な理系表現である抑揚のないのっぺりした(よく言えば理性的な)音楽が、何百年にもわたってことごとく我々の感情を大きく揺さぶるのです。わたしがクラシックの中では特にバッハの音楽が好きなところはそういう理性が生み出す情動が顕著なところです。譜面上は喜怒哀楽の表現欲求が無く、しかし理性的な旋律の組み合わせによって聴くものの心情を大きく揺さぶるのです。またそのような喜怒哀楽を超えた情動表現はこれまたわたしが大好きなジャズ(特にモード)にも通じますし、それこそ音楽だからこそ表現できるパッションだ、というのが持論です。

 

あとで小説「三体」を取り出して読み返してみよう。そもそもどこに置いてあるか探すことから始まりますけど。

オーサムシティクラブ

昔からお気に入りのバンドがいて、名前をオーサム・シティ・クラブといいます。男女ツインボーカルのスタイルをとっているのが特徴です。映画「花束みたいな恋をした」のインスパイアソングとしてリリースされた「勿忘」(わすれなと読む)が、卒業シーズンの気持ちに沿う切ない曲調で大ヒットしました。大変嬉しいし、やっとか!やっとみんなに知られるようになったか!という気持ちです。

オーサムについては5年ほど前に「GOLD」をラジオでたまたま耳にして楽曲の完成度の高さに驚いて、ずっとチェックして来ました。その後も出す曲出す曲コンセプト・曲のクオリティともに非常に高く、しかしなぜか大ヒットに至らないのが不思議でならなかった。昔、もう30年くらい前にバービーボーイズというバンドがいて、バービーも男女ボーカルで、色恋の駆け引きを歌った面白いバンドでしたが、オーサムにもそういうところがあって好きな曲がたくさんあります。「今夜だけ間違いじゃないことにしてあげる」「Don't think, feel」とか。

そして、これはすげえ、オーサムに一生ついてくぞ、と思った曲は、カバー曲なんですが、EP「TORSO」収録の、キリンジの名曲「エイリアンズ」です。

ちょっとYouTubeにはなかったのでiTunesからの短い引用のみになります。

大変難しい曲ですが、冒頭の歌い出しから、世界観が完璧にオリジナルと同等で、かつ途中からコーラスで加わる女性ボーカルのPORINの歌声に至っては、男性2人で歌われたオリジナルとは異なるはずが、世界観にブレが生じない。完璧だと思いました。

良い音楽が売れるとは限らない、それは昔から言われていることですが、やはり良い音楽はみんなに知れわたって欲しい。それが久々に叶った気がして、わたしとしてはAirPods Proのノイキャン性能を知る以上に嬉しいことでありました。

 

ノイキャン・ワイヤレスイヤホン

お題「#新生活が捗る逸品」

わたしぐらいの年齢になるとたかだか年度が変わった程度で生活に新も旧もなかったりするのですが、昨年度頑張った自分へのご褒美という名目をでっち上げて、ワイヤレスイヤホンを買い変えました。買ったのはアップルのAirPods Proです。

 

Apple AirPods Pro

Apple AirPods Pro

  • 発売日: 2019/10/30
  • メディア: エレクトロニクス
 

 

これがめちゃくちゃ良い。ストレスがなくなって物事が捗る、ような気がするので書くことにしました。

外部の音を消して、流している音楽だけをよく聞こえるようにするノイズキャンセリング機能が猛烈に優秀で、これだけのためにわたしとしては買って良かったと思える一品になりました。イヤホンを装着すると、隣の人たちの会話が全く聞こえなくなり、店内のBGMが消え去る。また、駅のホームでは電車が進入してくる時のガタンゴトンが無くなって、スーッと電車が目の前を通る感じ、いやどちらかというとヌルッと電車が滑ってくる感じかもしれない。目に見える空間や物質の摩擦・手触りがなくなったような奇妙さ。テクノロジーに驚く機会は数年に一回くらいありますが、これはなかなかのインパクトです。

世に出回っているイヤホンでAirPods Proよりも音質の良いイヤホンは多分いくらでもあります。わたしもこれまで、音が良いと言われているイヤホンを何度も買おうとしたのですが、屋内よりも電車通勤時が主な音楽視聴場面であるわたしにとって、外のノイズで音楽の特定音域がかき消されてしまったら良い音のイヤホンを使う意味がないと思って買い控えていました。その曲で鳴っているはずの高域から低域全体が満遍なく耳で聞こえていることがとっても重要だというのがわたしにとって良好な視聴環境の前提です。

購入にあたり、ソニーJBLノイズキャンセリングイヤホンと比べたのですが、AirPods Proの外部音シャットアウトの度合いが段違いでした(なお静穏な環境ではソニーの音は「おおっ」と声が出るほどインパクトがあって良かった)。

1番嬉しかったのは、マイルスデイビス“so what“の消え入りそうなイントロベースラインを、電車に乗りながらでも聞けるようになったことです。

そして外の音が聞こえないので曲が終わる前に寝てしまう。

 

 

ジャズは一期一会

5年ほど前だったと思うのですが、ある地方都市にチャージ二千円で良い演奏を聴けるジャズライブ・バーがあってよく通っていたのですけど、そこでものすごいトランペット奏者に出会いました。本人とお話しすることはできなかったけどセカンドステージ前にわたしの隣にドラムの人が座ってくれたので興奮してトランペット奏者について聞いてみると、まだ20代前半だというのでものすごく驚いた。あとでバーのサイトで確認したら佐瀬悠輔さんというお名前でした。

佐瀬さんの特徴は、上手いのは当然ですけど、なんといっても音が素晴らしい。音の粒がキラッキラに輝いていて、ソロが始まると場の雰囲気が変わるし温度が上がります。例えとして、こういうこと言うと怒る人が出てきそうですけど、若き日のリー・モーガンの、あのツヤツヤな音に生演奏で出会ったらきっとこういう感動を覚えるんだろうな、とマジで思った。

佐瀬さんに関しては良い映像がまだまだ少なくて、なおかつ音楽知識の少ないわたしが魅力を伝えられるか大変心許ないのですが、下の映像がコンパクトでわかりやすそう。25秒から真ん中でソロを演奏しているのが佐瀬さんです。メロディも音もツヤッツヤのキラッキラです。

 

そんな佐瀬さんですが、先日リーダーアルバム「#1」をリリースしました。大変喜ばしい。下の映像はその1曲目「ENCOUNTER」。メチャクチャクールな曲です。中盤で聴けるピアノとのソロの掛け合いが最高です。イントロのベースのゴリっとした音が聞き覚えあるなあと思ったらKing Gnuの新井さんだったのでそれもびっくりした。

そして気になったのはギタリストの小金丸さんという人。音がとってもわたしの好みで、クリーントーンも後半の歪み気味なトーンも大好きであるので今後チェックしていきたいと思いました。勝手に予想すると弦が細めのものを使っているか、指の力がめっちゃくちゃ強いか、根拠は何にもないんですけどそういう音に聞こえました。