残り半分

話がまとまる前にやめとく派です

はにかみモード

この大雪で色々予定が狂ってしまって、仕方なく断念して戻る途中、ちょっと残念な気分のまま、田舎のラーメン屋さんに入りました。そのすぐ後にじいさんが1人入ってきたのですが、なんだかわからないがわたし以上に機嫌が悪い様子だった。じいさんは若い店員さんに注文がてら尋問するかのように色々質問するのだが、店員が即答できないでいるとひどく呆れた態度を見せて、大きくため息を吐いた後、強い口調で「もういいもういい」と吐き捨てるように言った。そんなわけで店内の雰囲気は少し重苦しくなってしまった。そうしてじいさんはさらに不機嫌な顔になっていて、このままだともう一回なんかありそうだと予想されたので、さっさと早く食べてしまって店を出ようかな、なんて考えていると、なんと先客で飲んでいた若者がじいさんに話しかけ始めた。正直、うわあその行為は地雷だろうと思った。ところが10分ほどの間にみるみる両者仲良くなっていって、詳しくは書けないけどお互いの素性も明かしあって、最後は上機嫌なじいさんが若者の飲み代を自分に付け替えていた。これはちょっと感動した。わたしにとって場の雰囲気を短時間で変えることはすごく難易度の高いことで、大抵スタート時に先手を打って1番最初に雰囲気を作り上げるように努めている。一度雰囲気が決まったら、その場でひっくり返そうなんて夢にも思ったことはなくて、仮に段々雰囲気が悪くなったら、とりあえずもう話し合いをやめて時間を置くくらいしか手立てはないと思っていた。しかしその若者は自ら積極的に困難に踏み込んでいって大逆転、奢ってもらっちゃったりするわけで、人間力というか、場数の違いなのか、すげえなあと思った。ちょうどわたしと会計が同じタイミングになったじいさんに、「ご機嫌ですね」と話かけるほどにわたしも影響を受けてしまった。「聞いてたかい、お恥ずかしいね」じいさんはお怒りモードからはにかみモードになっていた。