残り半分

話がまとまる前にやめとく派です

もはやバイブル

今週のお題「読書感想文」

安倍さんが総理大臣辞任を表明しました。ゆっくり療養していただきたいと思います。わたしは政策実績とか個別具体的なことは全くわかりませんが、安倍さんのことで一つだけ凄く良かったなあと思うことがあります。それは失敗や挫折を二度と許さない傾向にある日本の社会において、リベンジするチャンスが与えられて二度目の総理大臣就任を果たしたことです。安倍さんはこの長期政権(2012年から2020年)以前に一度、内閣総理大臣になっています(2006から2007年)。1回目の政権発足当時、やけに人気だった小泉政権を引き継いだ影響を受けて、ついつい掲げてしまったワンフレーズ「美しい国」のセンスをはじめとして、なかなか世論を味方にできないでいたところに難病を発症して辞任しました。散々な状態で政権が終わってしまい、その印象は内外においてバリ悪かったはずなのに、2012年、民主党から政権奪還後の最重要なタイミングでもう一度総理大臣の座についた時はびっくりしました。あ、党内コンセンサス的にいいんだ?許されるんだ?と思った。戦後日本国憲法下で一度辞任した人がもう一度内閣総理大臣に就任したことはないはずです(たぶん)。普通考えればイメージが大切な職業でしょうから、一度失敗した人をもう一度トップに掲げることは内部的にいろいろ抵抗があったはずです。でも就任させた。もちろん安倍さん本人の意思だけではなく、いろんな人たちのいろんな政治的思惑があっての再就任なのでしょうが、わたしはそれにしたってこれはすごいことだと当時思った。一度失敗した人に「もう一回やってみな?」と言える社会になっていくんじゃないかな、という強い期待ですね。しかも厚労省が指定する難病を持病に持つ人でもある。そういったことを考慮した上で、一度の失敗に固執せず、病気を差別することなく、もう一度チャンスを与えたんだ、という見方をわたしはしていました。今回が(それが全て良かったことと言えるのか別ですけが)長期政権になったことの一つに、やはり二度目の就任であったことはとても大きいと思います。二度目の就任の時「よし、前のような失敗はしないぞ」と意気込んでいたはずで、前回の度重なる失敗を参考にして対応してきたことでしょう。

わたしも失敗した人を「二度と許さない」とか「出入り禁止だ」とかいった事態に追い込まないようとても気を付けてなるべく門戸を開くように心がけているし、大切なのは一度きりの成功体験ではなく、失敗の積み重ねによって得ていく物事たちであると考えています。

そういった、失敗がポジティブなものだと気づかせてくれた畑村さんの「失敗学のすすめ」が大好きで、いまだに読み返すことが少なくありません。

 

失敗学のすすめ (講談社文庫)

失敗学のすすめ (講談社文庫)