残り半分

話がまとまる前にやめとく派です

キヨ

今週のお題「おじいちゃん・おばあちゃん」

わたしの祖父母はすでになくなっていて、思い出そうとすると懐かしく寂しい気持ちが蘇ってきますが、では子供の頃リアルタイムで祖父母が好きだったか思い出してみると、そうでもなかったかもしれない。虫歯だらけで近づくとお口がくさいし、総入れ歯にしたと思ったらしょっちゅう話しながら入れ歯が落ちてくるし、地球儀を回しながら戦争の話がすぐ始まるし、朝みんなが急いでいるのにトイレが異常に長い。一緒に遊ぼうとしても子供の早さについてこれないからつまらないし、夜中トイレに向かう途中で倒れて救急車を呼んだり、天ぷら油の温度が高すぎてあわやボヤ騒ぎなこともありました。子供の頃はそういうことを身近に見ていて、親と比べてなんだか面倒な人たちだなあと思っていたような気がします。それでも今になって思い返すと懐かしく寂しい思いをするのは、何があってもわたしの味方になってくれたからでしょう。どんな悪さをしても怒られたことはなかった。もちろん親には徹底的に叱られるわけですが、1人で落ち込んでいると必ず寄ってきてそばにいてくれました。わたしはそういうとき照れ臭くてプイッとそこから離れてしまうのですが、そういった態度を責められたこともない。それから親と祖父母の喧嘩にすこしでも祖父母側に肩を持つと、なんて優しい心だと神様仏様の扱いを受けて財布から千円札を取り出そうとするのですが、すこしムッとしてお金はいらないと言うと、さらに無欲だと言って褒められて、わたしからするともはや理解できない思考でした。すこし夏目漱石坊っちゃんぽいですが、中学で小説坊ちゃんのキヨの描写を読んだ時に、まさにうちの祖父母と同じだと感じて、近親憎悪のようなものを覚えました。でも今、小説坊っちゃんのことを思い出すと、祖父母の数々の思い出とともに大変切なくなるので、人の思い出というのは不思議です。

 

坊っちゃん

坊っちゃん

 

 

ようやく秋っぽくなってきました。ジョージ・ウィンストンのアルバム「Autumn」から「Longing/Love」。音楽性の高さとか芸術性とかについては賛否あるかもしれませんが、学生の頃から別次元で好きなアルバムです。